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2026/09/07 20:24
カバーオールでありながら、着るとコート。
服好きの心をくすぐる、立ち切りとジッパー+スナップのデザイン。
今回ご紹介するのは、**barbell object(バーベルオブジェクト)**の「denim coverall - ag」。
その名前の通りベースにあるのはカバーオールですが、実際に袖を通してみると、一般的なカバーオールとはまったく異なる印象を受ける一着です。
ボリュームのあるオーバーシルエットに、やや縦長のフォルム。ライトアウターとして着るというよりも、むしろ「コート」と呼びたくなるような存在感があります。
さらに、二つ折りにして立ち切りにした仕様や、ジッパー+スナップボタンのフロントデザインなど、細かなディテールにもbarbell objectらしい遊び心が詰め込まれています。

DESIGN
ベースとなっているのはレザーカバーオール。
そこからデニムへと素材を置き換え、ボリュームのあるコートへとアレンジしています。
ワークウェアを思わせるラフなディテールを取り入れながら、仕立てにはあえて二つ折りにして立ち切りにした仕様を採用。
この少し粗野な仕上げが、どこかアルチザンウェアのような雰囲気を生み出しています。
さらに、伸び切ったようなアクションプリーツを組み合わせることで、きれいに整えすぎず、あえて野暮ったさを残した独特のシルエットに。
一見すると無骨なワークウェアですが、細部を見ていくと、単純なヴィンテージの再現ではないことが分かります。
例えば、あえて実用性だけを目的としないポケットや、前振りの袖、クッション性を持たせたディテールなど。
「服として面白いものをつくる」という視点が随所に感じられます。



襟裏に覗くカンガルー革
個人的に好きなのが、襟裏に使用されたカンガルーのニベ革。
この素材を主張するために大きく見せるのではなく、襟を少し持ち上げたときにだけ異なる素材感がさりげなく覗くように設計されています。
この「見せすぎないアクセント」が非常に良い。
そして、このカンガルー革にはヴィンテージレザーに見られる「茶芯」のようなエイジングのイメージも取り入れられています。
単純に古着やヴィンテージを再現するのではなく、経年変化そのものをデザインとして捉えているところも、このアイテムの面白いところです。

ジッパー+スナップボタン
フロントはジッパーとスナップボタンの組み合わせ。
もちろん実用性もありますが、面白いのはスナップボタンを留めたとき。
フロントの見え方やシルエットに変化が生まれ、通常のカバーオールにはない独特の違和感が出てきます。
この「ちょっと変な感じ」が、実はすごく良い。
着方によって表情を変えられるので、その日の気分やインナーとのバランスによって、さまざまなスタイリングを楽しめます。
また、両袖にはスナップボタンが付いており、インナーの厚みや好みに合わせて袖まわりを調整することも可能。
こういった、ありそうでなかなか他のブランドにはないディテールに、barbell objectらしさを感じます。

MATERIAL
生地にはブラックデニムを使用。
緯糸を飛ばした緩やかな綾組織に、太番手の綿糸を超強撚した糸を組み合わせて織り上げています。
さらに仕上げの工程でしっかりと目付を加えることで、厚みと存在感のある生地に仕上げています。
見た目にはしっかりとした存在感がありながら、着込んでいくことで徐々に表情が変化していくのも、この素材の魅力です。

硫化染めブラックデニム
硫化染めによるブラックデニムなので、着用や洗いを重ねることで少しずつ色が抜け、自然なアタリや陰影が生まれていきます。
新品の状態が完成形ではなく、着る人の生活や時間によって表情が変わっていく。
着込むほどに自分だけの一着へと育っていく素材です。
カンガルーのニベ革
襟裏にはカンガルー革の肉面側から出る繊維・副産物を利用した「ニベ革」を使用。
副産物を活用した素材という点でも、サステナブルな側面を持っています。
表面に残る不均一な毛足のようなものは、肉や皮下脂肪の繊維などによるもの。
あえて整えすぎず、荒く不均一な粗野な風合いを残すことで、素材そのものの個性を引き立てています。
カンガルー革自体が軽く、強度があり、しなやかな素材であることも特徴です。
175㎝65㎏ size1着用






175㎝65㎏ size2着用







BUYER'S VOICE
このアイテムを初めて見たときから、個人的にかなり気になっていた一着です。
まず、ジッパー+スナップボタンのデザイン。
カバーオールというアイテムなのに、この仕様によってかなり幅広い着こなしができます。
着用画像を見ていただくと、なんとなく伝わるかもしれませんが、カバーオールと言いながら、実際に着るとコートそのものなんですよね。
見た目は確かにカバーオール。
でも、シルエットやディテールを含めて着用してみると、完全にコートとして成立している。
この少し矛盾した感じ、そしてそこから生まれる違和感が、個人的にはすごくbarbell objectらしいと思っています。
服としての実用性だけではなく、「この服、どうやって着よう?」と考える楽しさがある。
それこそ、ファッションの面白さだと思います。
そして、もうひとつ個人的におすすめしたいのが、同ブランドの小物とのスタイリング。
私は実際に600511 capを購入したのですが、このキャップや革靴をお持ちの方は、ぜひセットで合わせてみてほしいです。
襟裏に使用されているカンガルー革とキャップの素材感がリンクするので、さりげなくブランドらしい統一感をつくることができます。
こういう「同じ素材を使っているから小物まで合わせたくなる」という感覚も、服好きとしてはかなり嬉しいところ。
もしかすると、そこまで含めてデザイナーが意図しているのでは?と、勝手に解釈しています(笑)。
立ち切りの仕様にはどこかアルチザン的な雰囲気もあり、ジッパー+スナップボタン、カンガルー革、独特のシルエットなど、細かく見ていくほど服好きに刺さる要素が出てくる一着。
「普通のカバーオールではちょっと物足りない」
そんな方には、ぜひ一度袖を通していただきたいアイテムです。
見た目だけでは伝わりにくい、この「矛盾した違和感」こそが、barbell object / denim coverall - agの一番面白いところだと思います。


